百怪百匣 がごぜ
甲申平成十六年
木版單色摺り
446×300粍
- 元興寺、元興神、ガゴゼ、ガモジ
- 「ガゴゼ」「ガゴジ」とは、子供を脅すのに使はれた言葉である。子供が聞き分けのない時に、顔を顰めて「ガゴゼ」と言つた。
- 「ガゴゼ」は「元興寺(ガンコウジ)」が轉訛したものであるといふ。奈良時代、大和の元興寺には毎夜鬼が現れ、鐘突の者は殺害された。この鬼を退治せんが爲、尾張國愛知郡から、雷神の申し子であるといふ童子がやつて來る。戰ふが、勝負のつかぬ内に夜が明け始め、童子が鬼の髪を引き拔くと、鬼の姿は消えて了つた。鬼の殘した血痕を辿ると、寺の裏にある墓前で消えてゐた。その墓には、以前寺にゐた惡心の奴僕が葬られてゐるといふ。鬼の正體が判つた後は、鬼は現れなくなつた。童子の拔き取つた鬼の髪は、元興寺に収められたといふ。
- 「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大事典」では「ぐわごぜ」の名で登場。朧車の建國した「おばけの国」総理大臣。東京都調布市を怪氣象で占領したらしい。
- 參考
- 「妖怪図巻」京極夏彦:文 多田克巳:編、解説
- 「鳥山石燕 画図百鬼夜行」高田衛:監修 稲田篤信、田中直日:編
- 「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大事典」